展示会で成果を出す印刷ツール選びのコツ

はじめに
展示会は、新規顧客の獲得や商談の場として非常に重要な機会です。しかし、多くの企業が出展する中で、いかに自社ブースに来場者を集め、印象に残るかが成功の鍵となります。
この記事では、展示会で効果を発揮する印刷ツールの選び方と、それぞれの特性を活かした活用法を解説します。適切な印刷物を準備することで、展示会での成果を最大化しましょう。
1. 展示会印刷物の全体戦略
展示会で使用する印刷物は、「集客」「情報提供」「記憶定着」「フォローアップ」の4つの役割に分けて考えると効果的です。
展示会印刷物の4つの役割
- 集客ツール:ブースへの来場を促す
- 情報提供ツール:商品・サービスの詳細を伝える
- 記憶定着ツール:会社や商品の印象を残す
- フォローアップツール:展示会後の接触につなげる
これらの役割を意識して、必要な印刷物を計画しましょう。すべての役割をカバーする印刷物を用意することで、展示会の効果を高めることができます。
2. 集客を促進する印刷ツール
まずは、ブースへの来場を促す印刷ツールについて解説します。
招待状・案内状
展示会前に送付する招待状は、ターゲット顧客に直接アプローチできる重要なツールです。
効果を高めるポイント:
- ブースで提供する価値(新製品、デモ、特典など)を明確に伝える
- ブース番号や場所がわかりやすいマップを掲載
- 来場特典や商談予約の案内を入れる
- QRコードでウェブサイトやブース予約ページにリンク
会場内広告・サイン
会場内の広告やサインは、当日の来場者をブースに誘導するために効果的です。
効果を高めるポイント:
- シンプルで遠くからでも視認できるデザイン
- ブースで解決できる課題や提供価値を端的に表現
- ブース番号と方向を明示
- 床面サインなど、視線を変えた場所への設置も効果的
3. 情報提供のための印刷ツール
ブースに来場した方に、商品やサービスの情報を効果的に伝えるツールを紹介します。
製品カタログ・パンフレット
製品やサービスの詳細情報を提供するための基本ツールです。
効果を高めるポイント:
- ターゲット別にカタログを分ける(業種別、課題別など)
- 写真や図解を多用し、視覚的に理解しやすくする
- 技術的な詳細よりも、顧客メリットを強調
- QRコードで詳細情報や動画にリンク
製品仕様書・技術資料
詳細な技術情報を求める専門家向けの資料です。
効果を高めるポイント:
- 正確で詳細な情報を整理して掲載
- 比較表や図表を活用して理解を促進
- 競合製品との差別化ポイントを明確に
- 必要に応じて、英語版も用意
事例集・導入実績集
実際の導入事例を紹介することで、信頼性を高めるツールです。
効果を高めるポイント:
- 業種別や課題別に事例を整理
- 導入前の課題と導入後の効果を数値で示す
- 顧客の声や推薦文を掲載(許可を得た上で)
- 写真や図解で導入イメージを具体化
4. 記憶に残るノベルティ・配布物
来場者の記憶に残り、展示会後も自社の存在を思い出してもらうためのツールです。
オリジナルノベルティ
会社名や製品名を印刷したノベルティは、長期的な認知度向上に効果的です。
効果を高めるポイント:
- 実用性の高いものを選ぶ(メモ帳、ボールペン、エコバッグなど)
- 業界や製品に関連したユニークなデザイン
- 品質の良いものを選び、ブランドイメージを損なわない
- 数量限定や来場特典として活用
ミニ冊子・ガイドブック
業界の知識や役立つ情報をまとめた小冊子は、価値提供と記憶定着に効果的です。
効果を高めるポイント:
- 顧客の課題解決に役立つ情報を提供
- ポケットサイズで持ち帰りやすいサイズ
- 図解やチェックリストなど、実用的な内容
- 自社の専門性や強みをさりげなくアピール
5. フォローアップのための印刷ツール
展示会後のフォローアップを効果的に行うためのツールです。
名刺・ショップカード
基本的なコミュニケーションツールですが、展示会用に工夫することで効果を高められます。
効果を高めるポイント:
- 展示会限定デザインや特別情報を掲載
- QRコードで詳細情報やフォローアップページにリンク
- 特殊加工(箔押し、エンボスなど)で印象に残るデザイン
- 裏面に展示会特典や次回アポイントの案内を記載
お礼状・フォローアップレター
展示会後に送付するお礼状は、関係構築と次のステップへの誘導に効果的です。
効果を高めるポイント:
- 来場のお礼と、会話の内容に触れる個別化された内容
- 次のアクション(商談、デモ、資料送付など)の提案
- 展示会で紹介できなかった情報の補足
- 期間限定の特典や提案を盛り込む
6. 印刷物の一貫性と相乗効果
各種印刷物は、デザインや内容に一貫性を持たせることで、ブランドイメージの強化と記憶定着に効果的です。
一貫性を持たせるポイント:
- 共通のデザインテーマやカラースキーム
- 統一されたキャッチコピーやメッセージ
- ロゴや企業アイデンティティの一貫した使用
- 印刷物間の相互参照(「詳細はカタログP.〇〇を参照」など)
7. 印刷物の制作スケジュールと予算配分
効果的な展示会印刷物を準備するためには、計画的なスケジュールと予算配分が重要です。
スケジュール計画のポイント:
- 展示会の3ヶ月前:全体計画と主要印刷物の企画開始
- 2ヶ月前:デザイン確定と印刷発注(招待状、カタログなど)
- 1ヶ月前:校正確認と最終調整
- 2週間前:印刷物の納品と確認
予算配分のポイント:
- 重要度の高い印刷物(主力製品カタログなど)に予算を重点配分
- 数量調整で予算を最適化(全種類を大量に作るのではなく、重要度に応じて数量を調整)
- デジタルとの連携で印刷コストを削減(詳細情報はQRコードでウェブに誘導など)
まとめ:展示会印刷物の成功事例
最後に、展示会印刷物を効果的に活用して成果を上げた事例を紹介します。
事例1:製造業A社の場合
新製品発表の展示会で、事前に送付した3D要素を取り入れた招待状と、会場での限定技術資料の配布を組み合わせ、前回比150%の商談件数を達成。
事例2:ITサービスB社の場合
業界別の課題解決事例集を作成し、来場者の業種に合わせて提供。具体的なイメージを持ってもらうことで、展示会後の商談成約率が30%向上。
事例3:食品メーカーC社の場合
レシピ集形式のミニ冊子を配布し、自社製品の活用方法を提案。実用的な内容が好評で、SNSでの拡散も実現し、認知度向上につながった。
展示会での印刷物は、単なる情報提供ツールではなく、マーケティング戦略の重要な一部です。目的と役割を明確にし、一貫性のあるデザインと内容で、効果的な展示会出展を実現しましょう。
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鈴木 一郎
マーケティングディレクター
大手展示会企画会社でのマーケティング経験を持ち、現在は印刷会社のマーケティングディレクターとして、展示会出展企業の販促支援を担当。年間100社以上の展示会出展をサポートしている。


